White Wolf's Forest

ウルフマン 森の生活

とある小説家が山小屋で料理をしながらスローライフを目指す

鉱山跡地を発見

親族が鉱石を扱う仕事をしていたことも関係するかもしれないが、

鉱石は割と物心ついた時から好きだった。

 

何億年も紡がれる自然の中で

目を奪われるような美しい宝石たちが生まれていくのがとても不思議で、

その石の持つ物語は私の夢を膨らませた。

あの時から小さな石ころの中に私は世界の神秘さを感じていたのかもしれない。

 

今も鉱石を眺めるのは好きだ。

同じ種類でも何一つとして同じ石はない。

パワーストーン』や『天然石』という言葉が流行ってからと言うもの、

鉱石好きはスピリチュアルのような分類をされるようになり、

私のように純粋にその美しさを楽しむと言うよりも

『目に見えないパワー』を楽しんだり、

願掛けの一種のようなものに変わってしまったように思う。

 

鉱石の話をするだけで

何かを崇拝していると勘違いされ異端な目を向けられたり、

高額な怪しい物を売りつける輩が寄ってくるようになってしまった。

同じような感性の人と出会う機会が減り

最近はひっそりと鉱石観賞を楽しむことが多くなった。

 

私の移住先の庭にある川は面白い石が多い。

黒くラメのように輝くもの、

真っ白の半透明なもの、

赤茶色のごつごつとしたもの……

気に入った石を見つけては採取して部屋に飾っていた。

 

ある日、拾った石の中に磁気を帯びているものがあり、

私はふと近辺の岩盤や地層について調べた。

 

私の移住先の近くには昔、鉱石採掘場があったようだ。

採掘場跡地の川には今だに宝石となる鉱石があり、

運が良ければロードナイト、マラカイト、クリソコラといった

宝石に分類される鉱石を拾うことも可能だと言う。

 

私は前オーナーが私に「昔ここは石切場だった」と言ったことを思い出した。

確かに移住先には大きな岩が目立つ。

近くが鉱山であれば良質な岩が取れるのであろう。

石切場であることも納得できる。

たまたま石好きがこの地にやってきたわけだが、

なぜがとても不思議な縁を感じた。

 

時期を見て鉱山跡地で石拾いができたらなと思う。

 

 

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*The photo is for illustrative purposes.