天上の花
草木の湿る香りで目が覚めた。
ようやく少し晴れ間が見えた今日。
昔、本で読んだことがある。
シロツメクサはアダムとイブが天上の楽園を去る際に
詰んで下界へと持って来た花なんだとか。
そう思うと草抜きに苦労するクローバーも
ロマンチックな花へと変わる。
少しばかり愛おしく思えるのだ。
本に出てくる花々や草木、鉱石といったモチーフは
何かを必ず隠喩している。
書き手は文章能力だけでなく、
そういった雑学的な知識も執筆の際に問われる。
日常の些細な出来事に目を向け
心を揺さぶるものに出会う。
社会で起こる事象を気に留め
脳で咀嚼し自分の言葉で吐き出す。
新たな自分を発見し
自分というものを更新し続ける。
物書きと名乗る以上
文字をただ原稿用紙に書くだけの人であってはならない。
流動性と独自性と発信力。
そして、気力と根気と応用力。
私はまだまだ至らぬ点が多い。