White Wolf's Forest

ウルフマン 森の生活

とある小説家が山小屋で料理をしながらスローライフを目指す

ブリーダー犬と保護犬の違い

 

 先日の保護犬の譲渡申請の話の続編。

 

 

「秋田犬の仔犬がいるのですが」と

保護犬の譲渡を申請した動物病院の獣医から電話がかかってきた。

 

どうやらその仔犬はご高齢のブリーダーによるブリーダー犬のようだ。

兄弟はみな買手がついたがその仔だけは買手がつかなかないようで

買手探しを手伝っていると獣医は話す。

 

二ヶ月半を迎える仔犬はあと少しすれば赤ん坊の容姿ではなくなり、

より一層買手がつきにくくなるだろう。

そうやって買手がつかなかった犬が保健所に収容されるケースも多いと聞く。

 

犬の保護活動に携わる獣医はあまり乗り気の話ではない様子だった。

それもそのはず。

ブリーダー犬は販売目的に人為的に繁殖させられたものであり、

保護犬とは違う。

獣医はころころとしたその可愛さから

仔犬を探していた私に念のためと親切に声をかけてくれたようだった。

秋田犬といえば忠犬ハチ公を連想する人も多いだろう。

飼い主にとても忠実な一方で、

しつけが行き届かなかった場合は手のつけようのない犬になると獣医は話した。

 

私は現在二地域居住であり、車での移動がある。

私の車はさほど大きくはない。

加えて、寒い冬は家の中へ置いてあげたいとなると体の大きさも問題となる。

そもそも、私はブリーダーから犬を〈買う〉気はない。

私は獣医にその旨を電話で伝えた。

 

電話が終わった後、なぜか心が痛んだ。

命に優劣はない。

人間には神ように命を取捨選択権利もない。

ブリーダーを責める気はない。

動物の繁殖が仕事なのだから仕方のないことだ。

このブリーダーも長年ブリーダーをやってこられた有名な方である。

頭では理解している。

しかし、

人間は動物を身勝手に増やし、身勝手に処分しているのだと、

命を売り命を買っているのだと、

それが〈普通〉なのだと改めて実感させられた。

 

人間に置き換えて考えると恐ろしいことを

私たちは〈普通〉に誰もがしているのだ。

 

言葉で言い表せられないこの苦さを私は消化できないでいる。

 

この秋田犬の仔犬に良い飼い主が現れますように。

静かにただそう祈ることしかできない自分をなぜか不甲斐なく感じた。

 

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*The photo is for illustrative purposes.